法的なトラブルは全国どこでも起こりえます。しかし、近くに弁護士がいないために相談したり依頼したりすることができません。都市部に弁護士が集中し、地域によって相談する弁護士がいない、もしくは著しく少ないという弁護士の過疎問題が生じています。
2011年11月現在の弁護士総数は31,997名のうち、約半数(47%)が東京都に集中しています。東京以外の大都市、政令指定都市がある都道府県(北海道、宮城県、新潟県、埼玉県、神奈川県、千葉県、静岡県、愛知県、兵庫県、大阪府、岡山県、広島県、福岡県)の弁護士数は11,145名。全国比では約35%となります。
東京も含めると、26,112名となり82%が大都市に集中していることになります。
都市部の離れた地方では、裁判所の支部があるものの弁護士の数が極端に少ない地域(弁護士過疎地域) があります。
寺田弁護士が活動していた沖縄県宮古島市周辺の那覇地方裁判所平良支部管内の人口が約5万5000人であるのに対して弁護士が2名(平成22年当時)という状況でした。
地域に弁護士が1人か2人しかいないところもあります。
弁護士過疎地域では、弁護士の数が少ないことから、市民の皆さまが弁護士に相談する機会が多くありません。お客様にとって数少ない貴重な相談の機会であることを意識して、一つ一つのご相談をより一層大切に取り扱う必要がありました。お客様に「勇気を出して相談に来て良かった」と言っていただけるよう、丁寧でわかりやすい対応を心掛けておりました。
弁護士過疎地域では、弁護士の数が少ないことから、お客様からあらゆる種類のご相談が持ち込まれます。なかには法律問題かどうかわからないものや法律的に解決するのが難しいものもたくさんありました。そのような問題であっても、問題の整理や解決に向けてどのようなことができるかを、お客様とご一緒に考えていくことを心掛けておりました。
法律的に解決するのが難しいケースでも、お客様に「説明を聞いて納得した。残念だがこれで諦めがついた。相談に来て良かった。」と言っていただけることにありました。
弁護士過疎地域は、都市部に比べて市民の皆さまの人間関係が密接であることが多くあります。トラブルの相手方とも今後も関わりが続くというケースが多くありました。法的には裁判を起こした方が良いと思われる場合でも、お客様は今後もご近所つきあいがあるので、あまりことを荒立てたくないというご意向があるというケースもありました。そうした中でも、さまざまな解決方法をご提案させていただき、お客様にとってどのような解決手段がふさわしいのかについて、お客様とご一緒に考えていくことを心掛けておりました。
弁護士過疎地域では、弁護士の数が少ないことから、市民の方から「実物の弁護士を見たのは初めて」と言われることがよくありました。自分の活動がその地域の「弁護士のイメージ」を作ると言っても過言ではありませんでした。大げさではありますが、ある意味「日本の弁護士の代表である」という意識を持って活動しておりました。軽いフットワークでさまざまなところに出かけて行くなどして、「弁護士は市民の身近な気軽に相談できる存在である」というイメージを皆さんに持っていただけるよう心掛けておりました。